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落ちこぼれの中卒フリーターとトップアイドルとの出会い2章 Part9


放課後になりどんな言葉をかけていいのかわからないまま階段を登っていく和美


途中で逃げ出したくなる気持ちを抑えつつ屋上のドアを開ける


ガチャ(ドアの開く音)


ドアを開けた目の前にうつろに立たずむ白鳥美華の姿がある


ついこの間まで天は二物以上の物を与えるのかと思うくらい完璧な女性だったのに、今はその姿もぼやけてしまうぐらい悲しみに包まれていた


和美「白鳥さん…」


白鳥美華「あっ…和美…ごめんね、こんなところに呼び出して」


和美「ううん、別に気にしないで…」


白鳥美華「和美にだけは本当のことを言いたくてさぁ…」


和美「どうしたの…」


白鳥美華「うん…実はお父様の会社、相当ヤバくてさぁ…お父様の部下が正直に話してくれたんだけど


反社会勢力の人たちとも付き合いがあったらしく来週、週刊誌にそういった記事が出るらしいんだよね…」


和美「え…本当に…」


白鳥美華「それで、お店の方は規模の縮小はまぬがれないらしいんだ…」


和美「それって全国にあるお店が潰れるってこと?」


白鳥美華「……それとこれから確実に客足は遠のくから最悪の事態を覚悟した方がいいって…」


和美「え…そんな…」


白鳥美華「だからさぁ、私決めたんだ」

和美「何を?」


白鳥美華「私、学校辞める!」


和美「ちょ、ちょっと待ってよ、別に辞めなくても…後1年もないんだよ」


白鳥美華「うん…でもこの学校の奴らがこれから自主退学を勧めてくるはず


不祥事起こした会社の生徒が卒業生いるとかあいつらが許さないはずだから…


辞めろと言われてから辞めるのは屈辱だからその前に辞めてやるよ!


そもそもこんな学校どうでもいいしぶっちゃけ大学なんてどうでもいいんだよね…」


和美「でも白鳥さん勉強凄いできるしもったいないよ…」


白鳥美華「それは親がそうしろと言ってうるさかったから、そうしてただけ」


和美「え…でも辞めて何するの?高校卒業の資格ぐらい無いと社会に出てから困るんじゃ…」


白鳥美華「私さぁ、昔から会社作ってみたくて、起業しようかと思ってたんだよね、だって私って天才でしょ!私が会社作ったら3年もあれば東証に上場できると思わない?」


和美「いや…どうなんだろう」


白鳥美華「その前にいろいろバイトしてさぁ、あぁ…和美の幼なじみの修二君に言われたんだよね」


和美「何を?」


白鳥美華「自分でお金を稼ぐ大変さお前分かんないだろ!って


私は何をやってもうまくできるのということをあの失礼な男に認めさせてやりたいし、それと…」


和美「それと…何?」


白鳥美華「ううん、何でもない、とにかくあんな失礼な奴は許せないの絶対に認めさせてやるんだから!」


和美「そうなんだ…」


白鳥美華「あと…本当に今までごめんね…あれだけ嫌なことを言って…今頃、謝るのはどうかと思うけど…本当にごめんなさい…」


和美「いいよ、もう気にしてないから…」


白鳥美華「本当に?許してくれるの?」


和美「だからもういいって…」


白鳥美華「ありがとう(グスン)」


和美「顔を上げて、これから大変なんでしょ?しっかりと前を向いて歩いて行かなきゃ」


白鳥美華「ありがとう…(グスン)あぁそうだこれ私が使ってた問題集や参考書!


私はもういらないからあげるよ、それとテクニック的なものもここに書いてあるから良かったら参考にして」


和美「あ、ありがとう助かる」


白鳥美華「それじゃあ、お互い進む道は違うけど」


和美「うん!あぁ、連絡先とか交換しよ?」


白鳥美華「ううん…それはやめよう…これ以上、私、和美に甘えることはできないよ…


連絡先知ってたらまた私、甘えちゃうからさぁ」


和美「でも…どこで会えるかわかんないし…」


白鳥美華「大丈夫、お互い頑張ってれば、必ずどこかで会えるからその時まで楽しみはとっておこうよ」


和美「……うん、わかったよ」


白鳥美華「……」


翌日、白鳥美華は本当に学校を退学してしまった


しかし、それを知っているのは、和美だけだった


ガラガラ(ドアを開く)


担任「おーい席に着け、今日はまずホームルームを始める前にみんなに伝えなくてはならない重大なことがある」


クラスメイト全員「なんだろう…(ザワザワ)白鳥さんのことかな(ザワザワ)」


担任「えー白鳥だが昨日づけで自主退学するという形となった」


クラスメイト全員「えぇ〜マジで、なんで」


和美「……」


担任「静かに!白鳥のお父さんの会社でいろいろあってかわいそうなのはわかるが、君たちは今年、受験なんだぞ!気を引き締めて白鳥の分まで頑張ってくれ、いいな!」


クラスメイト全員「はい……」


担任「それではホームルームを始めます」


最初の方はみんな困惑していた様子だったが受験勉強が忙しく、すぐに白鳥美華の話題を口に出す者はいなくなった


そして、和美も国立A大学合格へ向けまるで何かに取りつかれたように必死に毎日、朝から晩まで勉強する日々が続いた


果たして和美の努力は報われるのか


次回 2章 Part10 最終回へ続く